― ペンホールズにやってきた魔女 ―
[ペンホールズに顔を出すことはそれほど多くはない。
年から年中旅回るのが吟遊詩人のお仕事である。そちらこちらであちこちでツナギをつくる、地道なお仕事である。営業箇所は酒場に限らず、貴族の屋敷や、娼館、場合によっては宮廷などもありけりではあるが――
ソマリアランは、こういう酒場が大好きであった。
まず気楽。仕事しやすい。そんなに無茶いわれない。
貴族の屋敷で肉ばかりの体を服に包んだオヤジに「私をたたえる曲を」などといわれた瞬間に心の中でジェノサイドしつつ仕事をしなければならなくなるという苦渋プレイで後でソマリアードに夢でグチるパターンだが、酒場ではまずそんなことない]