−その後の戦場・>>+187>>+188より−
[その後陸軍第138連隊は、当初の予定通り48時間に渡って作戦目標の丘を防衛し続けることに成功する。
無論、そのために払った犠牲は少なくなかった。
幾人もの将兵が、その命を散らすこととなったのである。
トール中尉(※戦闘後、二階級特進により任命)が、生前に語った言葉が伝えられている。
『軍人は無生産者だ。
平時は無駄飯を食うだけで、特に何も生み出さない。
そんな軍人が存在を許されているのは、何故か。
それはひとえに有事の際、自らの命をもって国家国民の盾となるために他ならないだろう。
我ら軍人は、いついかなる時にあってもそのことを忘れてはならない』
この言葉に対する著者自身の見解は伏すが、中尉が本物の軍人であったことだけは、著者の名誉にかけて保証するものとする。
――『ある軍人の生涯』より抜粋]