― 回想・12年前・とある街の楽団の話 ― ………初めまして。[>>+160元気の良い赤毛の少女。あの卵が孵ったら、――あの中に居るキョウダイがもし女の子ならば。こんな活発そうな子に育つのだろうか。それとも、部屋で篭って本を読む子に育つのだろうか。] …帰りを労うのなら、“おかえり”だろう。[玄関まで出てきた少女に視線を下ろし、緑の鍔付き帽子を片手にして、奥方への礼節で面を見せ。少女にも流れる髪の毛を軽く下げる形で会釈した。*]