[幼い頃は、小さな孤児院で優しいシスターに育てられ。神への祈りも、死者への弔いも、覚えていたはずなのに。いつしか自分も弟も、それを忘れてしまっていた。] ……俺が止められりゃ、良かったんだろうな。[止めるどころか、己もまた道を違え、彼女に救われた。弟分を導くことも救うことも出来なかった自分が不甲斐なくて。溢れそうになる涙を見られたくないと、僅かに上を向いた。**]