【墓】 羊飼い カタリナ

　嫌だったんだよ。あの子がなにもわからいままに
　場の勢いで処刑されてしまうことに。
　人とも狼とも自覚できずに送られてしまうことに。

［　ペンダントを見せた時点で
　　ああなることは確信していた。
　　勿論、死にたくないと言えば隠蔽したし
　　口封じをするなら喜んで身を捧げただろう。
　　でも絶対そんなことはしないだろうと思っていたし
　　実際そんなことは起こらなかった　］

　私はあの子を人として送ってあげたかった。
　だから背中を押した。

　リーザは特別。私にはあの子以上の存在はいないの。
　神様が逆立ちしたって絶対に及ばない。
　そういう存在……私の太陽。

　……ごめんね。

［　半身だけ振り返らせながら小さく首を傾げる。
　　多分思ってることは私もディーさんも同じ。
　　お互い相手に��生きてほしかった�≠ﾈって。
　　でもそれはもう叶わないことだから…
　　自ら選んで放棄したことだから。

　　最後の言葉は少し湿っていたかもしれない　］