[薄暗がりの中を行く。
建物のように聳え立つ巨大な箱は、材質も色も定かではない、虹色を帯びた黒色だ。
きっとこの身には、触れても手触りは分からないだろうが、
つるりとした鏡のように見えた。
下から上まで、見上げてみる。
何処から開ければ良いものか、蓋も扉も見当たらない。]
あ、これ、シルは開けられるのか。>>+184
[繋ぎ目も見当たらないのにどうやって?
不思議に思っていると、彼が箱に片手を当てる。
ホログラムスクリーンに何かの表示が浮かび上がり、壁面が波打った。
シルの姿が飲み込まれてゆく。
あ、と思わず声を上げ、迷うより先に地を蹴って、
その後ろから壁面に飛び込んだ。]