[声をかける間もなくよろめき壁に手を着くと、その場に座り込んでしまう。こんなに動揺している先輩を見るのは初めてだ。予想しなかった出来事に呆然としていると、シロウ先輩の異変に気付いた先輩たちが次々に近づいて声をかける]……。[だめだ。どの声も彼には届いていない。目の前で起きた出来事はとても痛ましいけれど、彼は何度もそうした境遇に遭っていたはず…あるいは、ここまで過酷な道程を経て遂に限界がきたのだろうか。シロウ先輩がこんな風になるなんて、想像したこともなかった]