そうだな、大丈夫じゃ、ない。
大丈夫じゃないけど、
――そういってくれて、ありがとう。
少し、落ち着く。
[昔彼にその言葉を告げた誰かと言うのが、何を思っていたのかは、
自分には恐らく、分かることではないのだけれど。
けれど、そんな言葉を伝えるということは、
きっと、ヴェルナーのことを、深く気遣っていた誰かなのだろうと、そう思ったから。
だから、“俺よりも”という言葉には、首を横に振った。
ありがとう、と小さく微笑んだ表情は、
おそらくは先ほどのようにつぎはぎのものでは、なかったはずだ。]