― 現在・木の下 ―
[人影は漆黒の羽を広げて木から降り立つ。>>+134
そうなればもう、目の前の彼に見覚えがあると思うには容易であった]
あ、あなた、新緑の村の……。
でも羽が生えてるし、似てるだけの、
別の……何か、なんだ。
[神様の使いに「遠からず近からず」、と自称していたし――、と、
納得しようとした矢先のこの問いである>>+135]
……っ、父と母は、村にはいません。
[伸ばされる手を避けようと反射的に身が一歩、下がる。
足を引きずるような動作、それでも、
石畳を埋めて積もる雪には足跡ひとつつかないのだけど]