人狼物語−薔薇の下国

297 吸血鬼の脱出ゲーム


【墓】 夜盲 ジャン

[元々渇き飢えていた男は、最も愛する血の香だけでも、既に酔ってしまいそうで。
父の絹のような肌に流れる赤色に、囚われたように身を寄せていく。
愛おしい彼の顔をかき抱いて、額同士を合わせるように。
唇が触れ合うかどうかの距離で、そっと囁く]

 御父様、今この時は貴方も。
 僕だけに溺れてくださいますか――…?

[流れた血液が交じり合う。
最初、背に絡めて口付けを請うていた指先は、宣言通り彼の肌を余すこと無くなぞっていく。滴る赤を舐めとり、飲み欲し、恍惚として、幸せそうに柔らかく微笑んだ]

 僕の自慢の、御父様。

[熱を帯びた瞳はとろんとして、無邪気さすら感じさせる声で甘えるように。
やがてまた、声は微かな吐息に、喘ぐような息遣いに変わり、溺れ、闇に溶けていく*]

(+165) 2015/02/05(Thu) 19:38:39

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