[元々渇き飢えていた男は、最も愛する血の香だけでも、既に酔ってしまいそうで。
父の絹のような肌に流れる赤色に、囚われたように身を寄せていく。
愛おしい彼の顔をかき抱いて、額同士を合わせるように。
唇が触れ合うかどうかの距離で、そっと囁く]
御父様、今この時は貴方も。
僕だけに溺れてくださいますか――…?
[流れた血液が交じり合う。
最初、背に絡めて口付けを請うていた指先は、宣言通り彼の肌を余すこと無くなぞっていく。滴る赤を舐めとり、飲み欲し、恍惚として、幸せそうに柔らかく微笑んだ]
僕の自慢の、御父様。
[熱を帯びた瞳はとろんとして、無邪気さすら感じさせる声で甘えるように。
やがてまた、声は微かな吐息に、喘ぐような息遣いに変わり、溺れ、闇に溶けていく*]