― 回想・街で暮らして間もない頃の ―
ただいま!
[通りを見渡せる窓の向こうに父の姿が見えるや否や駆け出して、
待っていましたとばかりに手を振った。
後ろで母のとがめるような呆れるような声がするけど気になんてしていられない。
どうやら楽団の人と共に帰路についていたらしい。
近くには、父と同じ楽団の正装に身を包んだ人物がいた。>>0:624
帽子の影になって顔は見えにくいが男の人だろう]
………はじめまして。
[――村とは違うのだから、目上の人にはとにかく礼儀正しく。
教えを思い出し、その人に一礼を返した。
その人の姿を見ることは、いつの間にかなくなってしまったけれど*]