― 銀嵐の中 前日 ―
[表情を曇らせるか、或いは怒らせるかなと考えていた。
然しヨアヒムの見せた表情は虚を突かれた…と云うより、少し呆けた様な、完全に頭の片隅にもそんな事を描いていなかった事実がよく知れた>>+22]
あぁ、そうかい。
……ごちそうさまでした。お粗末サマ。
[例え人狼としても心は全く人と変わらないだろう辺りを再確認した以上に。
"仲間"との言葉を使いはしたが、例えヤコブが、件の赤い声と云う物を使えずとも。
こいつはヤコブの為の場合ならば、本能のふたつみっつは捻じ伏せそうだ、合掌をひとつ。
冷たい言い方をすれば、ヤコブ以外の全員に対し、己の本能を捻じ伏せられる情まで抱くには到らずに仕舞ったと言う事なのだろうが…]