[ 握られていた手が一瞬離れたと思えば、
次の瞬間には背に回っていた。
長らく感じたことの無かった温もりに
一瞬驚きの色を見せたが、当然嫌なはずも無く。
抱きしめられれば同じようにその細い肩へと腕を伸ばして。
この手の、腕の、心の温もりが。彼女の言葉があったからこそ。
結果僕は堕ちずに済んだのだろう。
僕のことをこんなにも案じてくれる彼女を
裏切りたくなかったから。
苦しめたく無かったから。
だから、心配を掛けささないように。]
ありがとう……エレン。
君が居てくれて良かった。
[ 何度目になるか分からない、礼の言葉を。]