[大部分の学生が目に入っていないという評価は、正しいもので。トールと比較したら、それこそ、他の者は誰一人目に入っていないと言っていい。それほどまでに、彼ばかりを見ていて。だからこそ、互いの立場があっても、想いを捨てきることも出来ず。指輪も、手放せずにいた。そんな自分を未練たらしいと思う一方で、自分の立場を考えてしっかりと別れを切り出せた彼だからこそ。未だ、他のものを大事に想う気持ちも強いのではないか――と。そんな不安は、確かにあった。]