【見】 【墓】 楽天家 ゲルト

― 役割を果たした男との邂逅 ―

[ 失意の内にあてもなく村を彷徨っていた。
どれほどの時間が過ぎたのかは分からない。

俯いて歩いていると誰かが近づいてくる気配がした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　>>+101　　　]

えっ……シモン、さん……？
生きて…いた？いや、そんな筈は。
というより、なんで僕のことが見えて……？

[ 明らかにこちらを認識している素振りに、
　増々混乱が加速する。
　教会で見かけたときは認識していなかったはず。

　しかも、笑っている姿は、
　これまで抱いていた印象とは一つも合致しない。

　殺された僕がこうして村に留まっているのだから、
　同じことが起きても不思議ではないのかもしれない。

　しかし、そもそも死者が現世を彷徨っていること
　それ自体が理解の及ばぬ不思議なことなので、
　暫く冷静にはなれなかった。　　　　　　　]