― ねこのはなし ―
『そうですにゃ、ダンナさんの遺言ですにゃ。』
[ぺこっと頭を下げて、両手に抱えた宝石と刃。
親から正統に受け継いで、かたや魔術の礎として、かたや守り刀として、代々次の子らへと渡していく、ふるいふるい意識の結晶。
それは本来、エルフの里にあるべきものだったから。
森に生かされ、森に返す。
それがエルフの習わしで、本来なら弓でも放って埋葬場所を決めるのだけれど…――それは、猫の手では叶わない。]
『イタイは僕らにはどーしよーもないにゃ…』
[もう仲間たちは我先にと安寧の地へ逃げただろう。
投降も認められたのなら、尾っぽの毛先が引かれても、行かねばならない。]