[考え事をしていたら、曲がり角を曲がり損ね、慌てて方向転換する。ぐるりと一回りし、裏口の方から回り込み、喫茶店の入口へ向かう。窓の方に目を向けると、よく見知った顔が見えた。――……手を振ろうと、ほんの僅か、指先を持ち上げようとして。やめる。見慣れた顔に、見慣れない表情が浮かんでいるのが、見えたから]