残念、思い出したか。聞きたい事を優先させると駄目ね。[もう少し気づかなければ、僅かだけでもあの船に一緒に乗る事が出来たかもしれないが。ああやはり――やはり越える事の出来ない壁があるのだと、胸にこびりついた寂しさを紛らわすように、少しだけ強く幼馴染を抱きしめ返した。身に着けていた軍服は、一度も袖を通した偽りのものではなく、馴染んだ帝国色の物へと変わっている。階級は、少佐。ひたすらに真っ直ぐに、帝国で職務を全うした証が襟元に在った。]