[少女はニコラスの手から離れて雪原を歩き始める。
冷たい空気に晒されて少女の声は白く霞んで消えていく。]
ニコラス、ごめんね
リーザは行かなくちゃ。 だって、ジムゾンがひとりで悲しんでるもの。
[ジムゾンの過去についてリーザは聞いた事は無い。
神父の居た最果ての村について少女は何も知らない。
けれども、神父が暗く冷たい過去を抱いているのに、
長い間一緒に暮らしてて居た少女は気付いてしまった。
彼もひとりぼっちなんだ――、
聲を同朋を呼び続けるのを止めてしまった。
初めは同朋に会いたいと願い生まれてきて、
ずっとずっと少女は会いたいと願い続けて来たのに。
彼との幸せな日々が続くなら構わないと思ってしまった。]