[何者かの視線を感じた。
その方角へとばっと向き直りながら、指は既に腰の銃に伸びていて、
もし敵が現れたなら、向こうの出方次第で即座に撃てる体勢となっている。
けれど、辺りには何もない。
部屋を見回すが、視線は視線のみで、語る声もなければ動く影もない。
――その種類は、なんだ?
殺意? 観察?
いまは、視線”としか、分からない。
どうやらベネディクトやフレデリカ、ハーランも感じ取っているようで、やはり、何者かがいるのだろう。
もしかしたら、此処に”――とは限らない気も、したけれど。
自身の肌感覚を頼りに相手の位置を探ろうとするも、やはり何も見つからず、
警戒は解かぬまま、ぐるり、室内を見渡した。]