―― Berthilde Östholm――
[この後、私は母の姉である伯母さん夫妻に引き取られ、姓がニークヴェストからエストホルムへと変わったのです。
私は事件後当然のように鬱ぎ込み、暫く引き篭っていました。
――父も母も死んだなんて認めたくない。
でも父も母も、当然私の前に姿を現すことは二度と無かったのです。
エストホルム夫妻は、父と母の詳しい死因は知りません。父が人狼だったということも。
私ですら、誰があの凄惨な現場を誰が発見したのか覚えていないのですから。
ただ、「私達に何かあったらベルを頼む」と母から伝えていただけ。
――母も、覚悟を決めていたのです。
伯母さん夫妻には子どもが無く、私は実の娘のように可愛がられ育てられました。
本当に亀の歩みでしたが、徐々に私も普通の生活を送れるまでに回復できるようにはなれました。]