………[メル、と。 彼は、己をそう呼ぶ。 愛らしい発音はとても己に似合うようなものでもないのに、 ――彼がとても嬉しそうに呼ぶものだから、すっかり慣れてしまった。 起きているんだろう?と、 まるで最初から全て承知だったような言葉。 触れる、掌に。 ――ひくりと、喉がふるえる。 恐らくは其れで、全て悟られてしまっただろう。]