― 書斎 ―
[わたしたちも邪魔にならないところへ行こう、と、北の窓際の本棚へと少年の手を引こうとし。]
……わたしもね、望みを……願いを持ってここに来たけど。
叶えても、幸せじゃなかったんだろうなって思うよ。
きっと、越えちゃいけない一線を越えちゃった後悔が先に来てた。
さっちゃんに合わせられる顔もなくなって、助けるって声にも耳を貸さないで……暗くて深い海の底に沈んでたんじゃないかな。
[>>+104少年の呟きに呼応するように、少女も独り言のように呟いて。
捜し人はもうここにいる、とシゲオを見ながら頷いた。]
魔ッスルさんね、見ず知らずのわたしのこと、助けるって言ってくれたんだ。
そんなこと無理だって思って、一度は拒絶しちゃったけど、あのひとは立ち上がってきた。
そのとき思ったんだよね。このひとはきっと、何度拒絶したって、呆れるくらい何度も立ち上がって手を差し伸べてくるんだろうな……って。
……なんとかする方法はひとつしかないって決めつけないで、ちゃんと考えようって思ったんだ。