―大木にて―[暫くは屋根の上に佇んで居たが。目先にある大木に目をつけ、太い枝腰を落とし、樹木の幹へ身を預ける。鳥が身を休めるかのように寄り掛かった状態で、空を仰いだ。気まぐれにヴァイオリンへと手を伸ばす。銀嵐では野鳥も羽ばたけるわけがない。寄り付く有翼類はとくになく、白銀の世界には鎮魂歌を奏でるヴァイオリン弾きが*ひとり*]