[暫くそうしていたが、ふとうずくまっている青年に気付く]……立てないのか。[面倒そうに目下へ一瞥をくれた後――、―――…漆黒のマントでその視界を覆う。更に五感をひとつ削られた感覚は、いかなるものか。黒く長いマントで包んだのは、少女にブランケットを差し出してしまった男へ暖を与える目的だったが、死神に闇へ招かれると勘違いをさせる程度の暗さが青年の世界を包み隠した。]