停学に追い込んだコンラートの正体は、陰の生徒会長だったのだ。まぁ、陽の生徒会長は、居ないのだが……まぁ、それはいい。
彼は以前より懸想して居たライナーを自分とともに停学処分にし、二人で寮に引き篭もった……あの部屋で、今……どのような所業が行われているか……考えるのも悍ましい……。これは……忘れよう、うん……そうしよう……そうするべきだ……そうするしかない……。
しかし、隣に居るコンスタンツェは、この世のものとは思えない微笑みに唇を緩めていた……。
こ……これも見なかった、私は何も知らない……。
あの後から、今に至るまでの記憶は曖昧で現実感がない。
ただがむしゃらに走り続けた……今居るこの薔薇の茂みに身を隠すまでの間、ずっと……それだけは確かだったと思う。
コンスタンツェが私たちに手を貸してくれたのは、決して生徒会の撲滅などの為ではなかった。
単に邪魔だったコンラートの排除、それだけであった。
学園の決めた校則など関係はない。ただ単に、純粋にシルキーと二人だけの世界に生きること……それだけが目的の白百合会を超越した……なにか……そうとしか私には表現できない。
もう私に明日はないのだけは確かだ。ただ一つ幸いなのは、私の最後が……この……私が愛した美しい薔薇の花園の中だと言うことだろうか……。