― 回想/お別れの日 ―
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ジェフロイを部屋に案内したのは、ジャンという名前の下宿の主人だった。
格好はどう見てもエプロンワンピースといういでたちだが、ごつい喉仏がその主人の性別を如実にあらわしている。
「あの子の友達が来るの初めてヨゥ」
「アラ、イイオトコ♪」
とにかくクネクネクネクネとしたおしゃべり好きの下宿の主人が、借部屋へと案内する。
案内したとき、部屋を借りているものは、ベッドにうずくまっていた。
だが、枕元にしっかりと本が広げてあった。
切り詰めて生活しているのが見てとれる、アイデア工夫収納用具。
もらいものばかりがあふれる統一感のない家具にインテリア。
わかりやすい貧乏人の部屋だった]