― Nルーム⇒研究室 ―
[僕はNルームを出ると、シルに付き従うようにしてヴォルヴァ博士の研究室へと向かった。
途中で誰かが同行していたとして、互いに初対面だったら名乗り合うくらいの会話は交わしたかもしれない。しかし、緊急事態といい、周囲のただならぬ異様な雰囲気といい、談笑を交わせる余裕はなかったかもしれないけど。
そして、僕は対面する]
…────!
[銀色の狼、誰かが【フェンリル】と呼んだ。
人のものよりも大きい頭に巨大な顎、その口元からしたたり落ちるのは鮮血。
まさに、巨大な肉食獣が獲物をしとめた現場に踏み込んだ状況に、僕は戦慄した]