[歌が聞こえた。歌詞は聞き取れないが、歌声の主は上にいた。
子守唄のようなメロディに思わず足を止め、そのまま十字架に座するパメラを見上げる。
このまま聖堂に入れば、似つかわしくない赤と鉛と哀しい熱気の中に、答えがあるのだろうが――結果は、見ないことを選んだ。
脳裏に過ぎるのは、あの日酌み交わした酒の事。
軍人より先立つのは不義理だったかもしれない。
願わくば叱りには来なくていいと祈るが、それは転じて他の死を願うことでもあり。
思考を払うようにしてゆるく頭を振り、他の魂を探しに宿の方へと改めて歩き出した**]