― 回想・夜の自室にて ― 夢を見るのが怖い。 夢を見ないために薬に縋り、父のように薬に溺れゆくのも怖い。 前にも後ろにも行けず、空を仰ぐ。 せめて今は、ここに留まりたい。どうせ、戻れば地獄なのだ。 ――…夢の中で何度となく手にかけた人々と笑いあう。 夢から自分を引き剥がすように。