[宿へ、とうまく伝わったかは定かではないが、カタリナは生家を離れる決心をしてくれたようだ。 この選択は言葉持たない自分の逃げでしかないから、頭を撫でたり、手を繋いだりするのは少し気が引ける。 代わりに着ていたストールを、そっと彼女に羽織らせた。](誰かいてくれればいいんだが)[宿の方面へ向かいはするが、宿の中で起きていることをあまりカタリナに見せたくはないという矛盾を抱えて、一歩一歩の足取りは重くなる。 聴力乏しい耳にも、ぱあんと銃声が届いたのは、その時だった。]