しっかし兄さん、二股なんて意外だねぇ?[先程聞こえた何言かが誰かの名前だったのを持ち出して、下世話な軽口を叩いておく。最も本心ではそう思っていないのは丸判りの表情ではあったがディークの反応はどうだったか。冷静さを欠いていなければ、悪戯めいた笑みに細まる男の翠色の瞳が彼の想い人と良く似ていると解ったかもしれない。どちらにせよ、人影が見えたというディークの言葉で状況は動くのだが]