[ "また"という言葉を繰り返して
彼はその右眼から、キラリと光る雫をこぼす。>>+82
どうして泣いているのだろう。
首をかしげた直後に抱きしめられた。 ]
ひゃっ……?!
[ 肩が震えているのがわかる。
彼は今、きっと泣いているのだ。
ふと、カレル様に抱きしめられた時のことを思い出す。
あの時確かカレル様は────
右手をゆっくりと持ち上げて彼の頭に触れようとするけれど
そこまで手が上がらない。
だから、彼の背中を撫でた。
大丈夫、大丈夫だから、泣かないでとでも言うかのように。
彼の涙の訳に私は気づけない。 ]