[本当は、ゲオルグが何を語るか、聞きたくなかったと言えば嘘になる。
自分の死を知り、一応顔でも見に来てくれたのだろうかと、そう思う傍らで、
どうしようもない感覚的な引っかかりが、ぞわりと背を這った。
けれど、部屋を出るつもりになったのは、
出ようと提案するそのひとの声が、まるで、ゲオルグの言葉を遮るようにも聞こえたことと、>>+40
自分が頷いたその時に、ふと、表情は相変わらずあまり分からずとも――… 気のせいだろうか、微かに安堵してくれたような気配を感じたから>>+74
だから多分、判断を分けたのは。
振り返ることなく外へと歩みゆくその背中に、今はついてゆくべきだと、
そう感じたからなのだ。]