[ようやく口から手袋が取り除かれて新鮮な空気が吸えるようになる。異物を出そうと必死に咳き込む。終いには笛を吹くようにヒューヒューと音がして。乱鴉の大公の顔は、悦んでいるように見えた>>+55なぜかその顔を見て背中がゾクリとする。恐怖のためでも、嫌悪のためでもなくむしろ、その逆…――アルビンが何よりも恐れ、そして何よりも慕う。その慕う部分が理解できなかったが、今、乱鴉の大公の顔を見て、少しだけ、わかった気がした。]