― 湯殿 ―[何かが滑空していったかに思えたが、渦巻く湯霧は真実を包み隠す。>>+41カウチに寛ぐ者には気づかず、リエヴルは惜しげもなく湯を溢れさせる窪みの縁まで足を進めた。手桶を探すも見当たらず、掌に湯をすくって身体を擦る。衣服は脱ぎ捨てたというのに、それと変わらぬ刺激が肌を弄う。もしや、また胸が腫れて筋力が落ちる毒かと目眩がしたが、幸いに今のところは変化は見受けられない。それにしても、この疼きは──埒があかぬ、とばかりに湯の中へ身を投じた。]