血とは生命の象。その精髄。存在そのもの。その価値を知らぬものに、妾は興味は無いのだ。ローリエよ。汝の中に居る亡霊に、気づかぬか?名は呼ばぬが、亡霊よ。妾がそなたに気づかぬと思うたか?果てるまで呑まれ、喰われて娘に宿ったのであろ。つまりは、幼子よ。其方が持つのは既に無垢な牙ではないのだ。尤も、真に無垢なる牙などは。赤子でさえも持ってはおらぬがな。[そう、それを持っていたとすれば。古老は地上の誰かを想起するように、視線をふと上に逸らした]