[その最上の愛の言葉を、悦んでしまう自分もいるのだ。
けれども同時に、酷く恐ろしい]
ふふ…。御戯れを。
[金糸雀が壊れてしまうなどというのは。
仮令、本の戯事にしても、空恐ろしかった。
縋るように愛しい父を見つめつつ、緩く首を横に振る]
そんなことをしなくても、僕は、…
["貴方だけの物です"と、常ならこの口許は微笑むのだろう。
それなのにどうしてもその先が、続けることが出来ない。
戸惑う様に苦しげに、
唇は何度か音にならない声を紡ごうとして、諦め]
……愛しています。御父様。
[やがてか細い声が零れた。瞬けば、頬を涙が伝っていく]