―2階東側廊下―[船酔いしそうな揺れの中、歌声が耳に届く。>>202 その方面に、楠は近寄っていく。 口の中に小ジェムを頬張りながら。]ジェフロイ![炎の蝶が、幾百の蝶が、舞っていた。]ジェフロイ![名を呼んでも、届かない。 5年前に聴いた、あの歌声を思い起こす声で、歌っているのに。うたって、いるのに。 だから、歌う少年の名の方を呼ぶのだ。]