[同時に流れ出す過去の光景。母が、父に包丁を向け、刺したこと。今度は、先生が、父に似た人に、銃口を突きつけている。私にかかっている幻惑――血の記憶の呪縛は、解けていないのです。この呪縛が解けるには、まだ暫く歳月がかかることでしょう。それほどまでに、当時7歳だった私の心に深い傷を残していたのです。大好きな母が、大好きな父を殺そうとした場面が。私の根底にあるのは『人狼への恐怖』ではなく。大事な人が、大事な人を、殺そうとする場面に対するもの。*]