―少し前―
[>>+23里の者が卒倒する、と聞けば、少女はきょとりと目を瞬かせ。]
あら、そうでしょうか?
[少女当人は首を傾げているが、実際にそうなれば里総出で頭を抱える案件だろう。
里には女児には男名を、男児に女名を付けて育てる、といった風習がある。
先生からそれを聞いていた少女は、初対面時に中性的な顔立ちをした彼を見て正にそれだと思ったのだ。
「おなじおんなのこどうし、なかよくいたしましょうね」と満面の笑顔で言った少女は両親に窘められ、真っ青になった。
――なんて失礼な事を。
これでは嫌われてしまう。
そんな想いが爆発して、少女は突然泣き出す騒ぎになってしまった。
幼少時のその一件が、彼の奥底に未だに残っているとは知らず。]