[血の楔を躱して動くだろう、と予測していた。故に、斬撃狙うはその移動の先である。が、宙、というのは予測していなかった。優美に翻る足取りに視線が吸い寄せられる。] 《騰蛇《とうだ》》![紅の魔剣に呼びかけ、城主の足元の空間を斬る。水平に真空の穴を開けて落さんと。自分をここへ招いた術の応用であり、それをいきなり実戦で用いる、魔剣の能力を試すかの強引な技だった。]