―― 船内通路 ――
[あれからヴェルナーとどれくらい話を交わしていたか。
一度は、探す人があると言って離れたのだったか。
そのとき探していたのは、エレンとクレステッドの姿だった。
見ていたところで、何が出来るわけでもない。
けれど、どうしても、黙ってじっとしていることなんて出来なくて。
当てもなく船内の通路を歩いている。
広い銀羊号はしんと静まり返り、自身の足音すら響かぬ廊下は、何もかもすべてが“幻”であるのではと、そのような錯覚すら抱かせる。
誰の姿も見ることはなかった。
恐らくはそのとき、クレステッドの自室に赴いたなら、二人の顔を見ることもあったのかもしれないけれど、そこにはまだ思い至らずに。>>44
そうしていると、先程別れたばかりのヴェルナーが、通路の向こうにふわり、現れて、
ラグナロク探しなる情報を伝えてくれる。>>+63
また飛ぶようにどこかに行ってしまうった、その後姿を見送る。]