― 宿・談話室 ―[しばらくした後、男の姿は談話室の中にあった。事故ではない明らかな他殺体、それも自分の話なのだ。おそらくあの男にも焦点が当たるだろうと――…より話を理解できる場所へ。死して以降、彼に対する感情は大分変わってしまっていた。見届けたいと思っていたものは、彼が自分に手をかけなければという逆恨みに近しいものへ。逆恨みどころか真っ当な恨みだろうという声も聞こえそうだが、男の焦点は自身の死というものではなく、自身の死に寄ってもたらされてしまったものなのだから、仕方ない。]