!!![昔を振り返ってみても、当時の自分はよく動けたなと楠は思う。出入り口に近かったからとはいえ、咄嗟に店外に飛び出して叫んだ。]逃げろ!![――と。 やけに時の流れがゆっくりだと感じてしまう。 トラックは確かにひとりの女子高生目掛けていた。正面から。 なのに、不意に車体が傾いて進路が変わった。信号機にぶつかりようやくトラックは止まった。]