[酷く、冷えた声が、失ってしまったはずの男の聴覚を揺らした>>+39。その音は共鳴ではなく発声ではなく。未知の音は男の感覚をじんわりと侵食していく。なんと答えるべきなのか、意識の混濁は更に進み、先程のように思考はうまく回らない。ただ、少女がいなくなる前に命を落とした自分にも、ただ一つだけ、言えることがあった。完全に意識を失ってしまう前に、うまく伝えきれるだろうかはわからない。それでも、伝えなければならかった。]