[高貴の方でも、例えばフェリクス王子のように、軍の中に置いては身分、家柄分け隔てなく接し、功績を挙げた者に地位を与えるタイプも居れば、初めから地位家柄に沿って分別して考える、いわば選民意識が当たり前のように備わったタイプもいる。
ラバル卿は後者のようだけど、彼から発せられる言葉からだけでは、その見極めはつかない。
胸ポケットの中身について尋ねれば、謎かけのような答えが返ってくる。>>54]
[ポケットに収まる大きさとは、随分と小さいこと。
お守りみたいなものかしら。もしかしたら、生き物かもしれないけど]
あなたを守ってくれる、大事な
[なんて話を合わせたけど、まだ要領を得ない。
どこか掴みどころがなくて、変わった人だと思う。アイリ様と破談になったのは、性格か趣向の不一致があったからだろうか?なんて邪推をした。もちろん、声には出さないけど。
彼がどこかへ向かうとすれば、わたしはその背を呼び止めなかっただろう。>>+50]