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はじめだけ、少し痛いけど。
我慢できるよね、ローレル?
[名前を呼んで、微笑んで。
小さな鋭い二本の牙を、口元から覗かせた]
だいじょうぶ。すぐに痛くなくなって、うっとりするような気持ち良さに変わるから。しびれて、くらくらして、溺れてしまうくらい。
[少女の首筋に口づけて、吸血鬼は舌を這わせる。彼女の精髄を奪うための箇所を、馴らすように]
――私は半分だけで止めるけど、ローレルは幾らでも、私から呑んでもいいの。きっと途中で、満ち足りるから。
[幼子にとっては麻薬にも等しい、古老の血潮。けれど求めずにはいられないだろう。
血液とは吸血鬼の生命そのもの。半ばを喪おうものなら、その飢えはいかなる規範も倫理も飛び越えるのだから]