──── 回想 10年前 ────
[ふわりと微笑んだ後、私はベンチの男の人の事など忘れ、友達との遊びに没頭していた。
やがて日が暮れて、友達と名残惜しげにわかれる。
今思えばそう。遊んでいた時もこの時も
私はずっと見られていたのである。
その日は夕方から天気が悪くなったのを覚えている。
いつもより暗い歩き慣れた道は、全く知らない道のようで怖かった。
ふと、何かの気配を感じ後ろを振り返る。
しかしそこには誰もおらず、ふさぁぁと草木が揺れているだけだった。
────はぁ、よかった。何もないよね。
ホッと息をついて前を向いた瞬間、