― ねこうさ喫茶跡 ―
ああ……あの頃のまま、だな。
[年季の入った他の施設とは違う、真新しい設備。
オープンしてから解雇されるまで、ほぼ毎日通っていた店。
準備を終えて客が訪れるのを待っているかのように、椅子やテーブルは綺麗にならんでいるが。
注文カウンターの横にある、各種スイーツが並べられていたショーケースは、空っぽで何も入っていなかった。
懐かしくて、そして寂しい心地になって。
それでも、何かないか――と。教官時代には一歩も入った事のなかった、調理設備があるだろう小屋の中へと足を踏み入れる]